離婚後の住宅ローン支払い義務に注意

離婚後も住宅ローンの支払い義務があるDebt after divorce

離婚後、マンションローンを払わない夫。取り立てが来たけれど、払う義務はある?ない?

離婚をするときにはお金の話は避けて通れず、完全に解決しなければいけません。
貯金などの財産を夫婦で分ける財産分与は、今あるお金を分けるだけですので話し合いでの解決が比較的容易です。それに対して、ローンなどの負債を分ける財産分与は、債権者の合意が必要で解決が難しい問題でもあります。
住宅ローンなど金額が大きい負債は解決が難しい場合がありますが、時間が経てば解決するものではなく問題の先送りに過ぎません。
離婚後の住宅ローン支払い義務に関する記事が、Suits-womanに掲載されていますたので紹介します。

堅実女子の質問に、弁護士・柳原先生が応えてくれる連載です。今回の相談者は、大津知永子さん(仮名・40歳・派遣社員)です。

「2年前に、夫の浮気が原因で離婚しました。夫は相手の女性を妊娠させてしまい、責任を取る形での離婚でした。私は32歳のときに結婚したのですが、それを機に夫の希望で家庭に入るために正社員として勤務していた会社を辞めて、専業主婦になりました。結婚と同時に、夫名義で郊外に3500万円のマンションを購入しました。

家庭を持つ条件を整えたのに、肝心の子供が授からず、いろいろと大変だった時期に浮気が発覚。お金もないので慰謝料も払えないと言われました。かろうじて夫の実家が引っ越し代は出してくれたものの、彼らは浮気相手の新しく生まれる予定の孫に心を奪われており、私に対してはかなり失礼な発言をしました。まさに、踏んだり蹴ったりの離婚だったのです。
とはいえ、いつまでも落ち込んでいてもしょうがないので、仕事を始めて、やっと生活を立て直しました。そんな矢先、住宅ローンを組んでいる銀行から連絡があり、『ローンの返済が滞っています』と言ってきたのです。

元夫は2か月前から連絡がつかなくなり、ローンの支払いもされていないとか。元夫の実家に電話したら、彼らも本人と連絡がつかずにオロオロしていました。新しい奥さんは、子供を産んだ後1年半で離婚しており、なんとか連絡をしてみたものの『私にもわかりません。それどころか私たちの養育費はどうなるのでしょうか』など言われてしまったのです。
今や私は元夫とは全く無関係なのですが、住宅ローンは私が払わなくてはいけないのでしょうか。そして、今すべきことを教えてください。

柳原桑子先生からのアンサーは……!?

銀行からあなたに住宅ローンの督促が来たということは、あなたがこのマンションの住宅ローンについて、連帯債務者になっていたか、あるいは連帯保証人になっていたことが推測されます。
記憶があいまいなら、銀行に確認をしてください。連帯債務者や連帯保証人であるというならば、法的に責任があります。
そうでない場合には元夫である主債務者と元夫婦であろうとも、そもそも督促など来ないでしょうから、責任を負う立場にある可能性は高いです。

連帯債務者及び連帯保証人は、主債務者(この場合はあなたの元夫)との関係性によって、消えるものではありません。債権者(この場合は銀行)との契約ですから、元夫を主債務者として住宅ローンを組んだとき、元妻が連帯債務者または連帯保証人になったならば、離婚しても、連帯債務者または連帯保証人であることには変わりはないのです。
ローンが残っている不動産を有して離婚する場合には、自分が責任を負っていないかどうか確認をするべきです。もし負っているならば、借り換えをしてもらって当初のローンを完済するか、売却する等も視野に入れて、よく検討するべきでした。
しかし、本件ではご自分の責任について認識しないままきてしまったので、まずは責任があるかどうかを確認し、法的責任があるとわかれば元夫を探すことが先決です。
もし見つかれば、売却を相談する方法が考えられます。ただ、売却できるまではローンを支払う必要があります。売却してもローンが残るほどの価値でしか売れない場合には、所有権移転時にローン不足額を弁済しなければなりません。

元夫が見つからなければ、滞納がかさんでいる以上、早晩抵当権が実行され、競売になります。競売後も残債務があれば、その部分についてあなたの責任が残り、引き続き督促を受けるかもしれません。ローンの残債を支払えない場合は、破産することが考えられます。
連帯保証人になっているなら、支払い義務があります。契約状況を知り、債務整理について早めに手を打ったほうがいいかもしれません。

出典:Suits-woman https://suits-woman.jp/
2018年12月16日 配信記事

離婚時にはローンなどの連帯保証人にも注意

婚姻中は共同の負債について深く考えず、離婚を想定せず住宅や車のローンを組んでいる夫婦が一般的です。
住宅ローンは負債の中でも金額が大きいので、夫婦共同の名義であるペアローン以外にも、連帯保証人や連帯債務者の契約が多い負債です。また、ペアローンであれば借入可能額を増やせたり住宅ローン減税のメリットがあり、離婚を想定せずこのような契約をしている人も多いようです。
契約内容によっては、このような負債を離婚時に解消をしないと後になり大きな問題が発生する可能性があります。

負債の中でも住宅ローンは金額が大きく連帯保証人や連帯債務者の契約の解除が難しく、売却して清算するにしても時間が掛かり簡単に解決できない負債です。
また、夫婦でどちらが負債を引き受けるかの合意ができたとしても、銀行が契約の変更に同意せず解決できない場合があります。しかし、解決が難しいからといて放置してしまうと、後になってさらに問題が大きくなってしまう場合もあります。
離婚後に起きる負債の問題を防ぐには、契約内容を確認し連帯保証人や連帯債務者契約になっていたら解消する必要があります。しかし、そもそも現金がないためローンを組んでいますので、離婚時にローンの一括返済ができない夫婦が多いでしょう。また、連帯保証人や連帯債務者の契約は銀行と個人の契約であり、離婚をしたからと言って解消してくれません。
そのため、離婚後に住宅を所有する人のみの名義で新たなローンに組み替え、現在のローンを清算するのが現実的な解決方法です。
しかし、住宅を所有する人のみではローンの審査が通らない場合もあり、この場合は住宅を売却しローンを返済する方法を検討しましょう。また、住宅を売却してもローンが完済できなければ、夫婦双方が半分ずつ負債を引き受ければ公平に解決ができます。
負債を含めた財産分与の問題は、離婚時にしっかりとした話し合いを行わず解決できていないと起こります。
後になり問題を抱えないためにも、全ての問題を離婚時に解消しなければいけません。

結婚をするときは関係が良好で問題が起き難いですが、離婚は夫婦関係が険悪になっており問題の解決が難しい傾向があります。
離婚により共同の生活を解消するには、結婚以上に手続きが多く手続きを怠ると後になって大きな問題を引き起こしてしまうリスクがあります。そしてこれらの話し合いを離婚相手と行わなければなりませんので、離婚は結婚以上に労力が必要だと言われています。
離婚時には精神的にも体力的にも大変ですが、放置してしまうと大きな問題に発展する可能性がありますので注意しましょう。

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